So Fishmans!(my fishmans life)


鍋と本棚 01 辻村豪文(キセル/ミュージシャン)

 

 

 

 

 

01  辻村豪文(キセル/ミュージシャン) 

 

 

 

 

───本棚はここだけじゃないですよね? 

 

家の外にログハウスがあってそっちにもあります。こっちの本棚は向こうから持ってきた本を一時的に置いておく場所です。 

 

───ログハウス!? それはまた後でうかがうとして。こっちが最近読んでいた本ですね。いろんなジャンルが混ざってますね。一番最近読んでた本ってどれですか? 

 

辻村:本当に最近だと、内田樹『街場の天皇論』。平川さん周りよく読んでますね。あ、これ、よく子どもと読んでます。奥さんが買ってきた『おーい ぽぽんた』。

 

 

 

 

───「小学生に暗唱してほしい」とありますね。 

 

辻村:俳句とか現代詩から万葉集まで一緒に並んでいて面白いですよ。学校の宿題で音読があって、親からしたらその音読楽しいんかな、みたいに思える時があって。子どももただ読んでる時だけの時とかあるから、だったらこっちはどうっていうことで。

 

(ログハウスへ移動) 

 

 

 

 

 

 

───ログハウスすごいですね。まさに憧れのスペース! 

 

辻村:前の前に住んでた人が作って置いていったらしいです。引っ越しを決めた大きな要因のひとつですね。家の前にこれついてるんなら、って。 

 

───空き地に建てたってことですね。 

 

辻村:ログハウスってキットで売ってるらしいですね。 

 

───そうですか。割と密閉されてるんですね。 

 

辻村:結構あったかいです。 

 

───不揃いの本棚でちょっとごちゃっとしていて、でも割と整理されてますね。本は夫婦の物が一緒になってるんですか。

 

 

 

 

辻村:奥さんのもあるけど、だいたい僕が買った物が多いですね。小説とかは時々、よく読むのは人文系っていうんですかね。森達也は昔から読んでました。『職業欄はエスパー』とか、めっちゃ面白くて。

 

 

 

 

辻村:これは酒場ライター・スズキナオの、ネットで連載してた文章をまとめた初の単著。スズキ君は「チミドロ」ってバンドをやっていて、一緒にライブに出たこともあります。田村隆一も好きで。吉祥寺で買ったんですけど、飯田市の話がちょっと出てきます。信州のお寺で修行してたこともあるとか。 

 

───漫画は……ガロ系も多いですか。 

 

辻村:漫画は昔買った物が多いですねえ。 

 

 

 

 

───小さい時から漫画読んでました? 

 

辻村:いえ、あんまり漫画は読ませてもらえなくて。少年漫画誌も読んでなかったです。団地住まいだったんですが、図書館が小学校高学年までなくて、近くの愛隣館(現・愛隣館研修センター)って平和教育に熱心な公民館のようなところで、子ども向けの太平洋戦争の戦記をよく借りて読んでました。戦艦大和の本とか。

 

 

 

 

───『じみへん』だ。 

 

辻村:喫茶店とかにたまにあるけど、全巻置いてるところってあんまりないので、揃えてみたいなと思って。自分にとってバイブル的要素が結構あります。日常の会話や出来事の中で引き合いに出せるというか。『じみへん』ではこうやったなって。 

 

 

 

 

───本棚の整理はよくしますか? 

 

辻村:引っ越した時に、最初にガサッと詰めたらぐちゃぐちゃ感がありすぎて、読みながら整理してます。でも読んでない本もいっぱいありますよ、いつか読もう読もうと思ってまだ読んでない、『免疫の意味論』とか。 

 

 

 

 

───人文系だ。絵本とか画集も少しありますね。写真集、図録とか。 

 

辻村:絵本とかはほとんど奥さんの物です。写真集とか図録も基本は奥さんですが、植田正治美術館の本は自分が買いました。ここでライブしたんです。OLAibiさんのライブの手伝いで、鳥取へ行った時に。 

 

 

 

 

───それにしてもこのログハウス、良いですね。 

 

辻村:ほんとありがたい。作った人も持っていくことができないという。よく借家に立てたなあ。 

 

───昼間はずっとここにいますか? 

 

辻村:主に夜、みんな寝てからですね(笑)。小さくですが、音も出します。 

 

 

(居間に戻って) 

 

 

 

 

 

 

───冷蔵庫、年代物ですか? 

 

辻村:これは僕が持ってた物で、古そうに見えるんすかね?レトロなデザイン。10年以上使ってるけど。貼ってあるのは、学校と幼稚園の予定。カクバリズムのステッカーなんて貼ってあったかなあ。 

 

奥さん:ずっと貼ってあったよ。三鷹の時から。 

 

 

───暮らしと仕事が一緒、家で仕事をするのってどうですか? 

 

辻村:ここ何か月かですけど、起きて家事とか掃除とか面倒くさいことからやるようにしてるんです。朝に掃除するのは、前の夜考えてたこと、もやもやしてることもすっきり整理される気がして良いなあと。 

 

 

 

 

キッチンには料理(ランチ。ごくたまに夕飯も)、洗い物する時と、タバコ。三ツ口の業務用コンロ前で。 

 

───家事ですっきりする? 

 

辻村:特に締め切りとか近い時、だいたい歌詞か、ライブのアレンジとかのアイデアで煮詰まってることが多いんですけど。掃除したり、メシ作ったり、買い物したりとか、全然違うこと、子どもと遊んでたりしてて思いつくことが結構ある気がします。 

 

 

 

 

───台所と道具へのこだわりはどうですか? 

 

辻村:全然ないですね。奥さんが料理関係の仕事をしてたので、調理器具や食器もすごくたくさんあるんですが、僕はそんなに。しいて言うなら、この鍋。弟と住んでる時に買ったやつで、20年近く使ってるただの鍋ですけど愛着がある鍋です。パスタを茹でるのに使ってます。 

 

 

 

 

辻村:これは、数少ない自分で買ったお皿で、少し前にライブで大分に行った時に、小鹿田焼の窯元に連れて行ってもらって買ったお皿(写真左)です。パスタ皿として使ってます。すごく軽くて良いんですよ。

 

───あ、本当に軽い! 

 

 

 

 

 

 

───松本に引っ越されたのはいつですか? 

 

辻村:引っ越しをしたのは、2017年の3月末です。その前からOGRE YOU ASSHOLEやトクマルシューゴくんに呼んでもらって何度か来てるんですが、2014年。「明るい幻」というアルバムのツアーの時にピカデリーホール(現・上土劇場)でライブをやったんですが、イベンターさん経由でChez Momoの蒔田さんが「キセルのライブだったら」ということでいろんなお店に声をかけて会場内でマルシェを開いてくれたんです。その頃にちょうど移住を検討し始めた時期で、軽く相談させてもらったりして、松本も良いなって思ったのを覚えてます。 

 

───それまではずっと東京。 

 

辻村:東京の三鷹のあたりに20年ほど住んでました。そうですね、これという理由がすぐ出るわけじゃないですけど、いろいろ思うところがありました。吉祥寺のお世話になってた店がなくなったのも大きい気がします。 

 

───ここに住んでなくてもいいというか。 

 

辻村:ええ。弟が東京なのでライブの練習とか諸々ちょっと不便になるかもしれないけど、東京から少し離れたところに住んでみたいなっていうのは、震災以後漠然とですがずっと思ってました。 

 

 

 

 

───ちょうど引越しを考えている時に松本に来たという。2014年ぐらいから引越しまでちょっと時間があいてますね。

 

辻村:本当、行動がいつも遅いんです(笑)。ずっとぼんやり考えてたんですけど、ちょうど上の娘が小学校に上がるタイミングで、もう引っ越すとしたら今しかないねって話になって。一番決定的だったのは、多分2014年か2015年だったと思いますが、一緒に見に来た奥さんが松本を気に入ったことかも。

 

───そこから長い目で家を探したと。

 

辻村:そうですね、それから1年ぐらい探して見つけました。もしもこの家が見つからなかったら決めてなかったかもしれないです。環境的にも自分的にはちょうど。街中でもないし、でも自転車で街中まで行けるし。

 

───立地も、見晴らしも良くて。

 

辻村:この辺、古い物が結構たくさん残ってるんです。松本は市街地もそうですけど、この辺はもうちょっと野ざらしな感じで。めっちゃ静かですね。今まで自分が住んだ中では圧倒的に静かだし暗い。あとお墓が区切られてない感じで点在しているのもなんか好きです。

 

───田んぼもあって季節感もある。

 

辻村:奥さんは転勤族で、佐賀に小学校の入学直前までいたみたいなんです。子どもの頃に自然の多い中で過ごせたのが良かったというのがあるみたいで。三鷹も良いところなんですけど、やっぱり公園行くにもついていかなければいけないし。ここは勝手に遊べる環境があるから、子どもものびのびしてる気がします。裏の山にも勝手に行ってます。

 

───ここから山の上に行けるんですか?

 

辻村:行けるんですよ、その道を娘が発見して。

 

───おお。

 

辻村:あとは、家探しに来てた時に、ギブミー(リトルモア※松本の女鳥羽川沿いにあるライブハウス)のマンスリーのチラシが、すごくおもしろかったんです。面白い人と場所があるんやったらという。僕的には本当にギブミーの存在がありがたいというか。音楽やってる人はみんなそうだと思いますけど。

 

───ギブミーでもライブを?

 

辻村:実は昨年からソロをやってるんです。

 

───もしかして、松本に来たからソロを始めたとか?

 

辻村:あ、それはそうですね。こっち来てからやりたいなって思うようになりました。昔からソロでバンドの曲だけをやるのもどうかなと思って、しばらくソロのお誘いは断ってたんです。でも、ギブミーなら一人で何かやってみたいなと思ってやり始めました。まだ2、3回しかやってないですけど。

 

 

 

 

ライブの時を想定して、ドラムを叩くための靴が置いてある機材部屋

 

───キッチンのすぐ隣が機材部屋。ドラムセットもある。

 

辻村:ミュートして音出しもしますが、(近所の人たちは)話しておけば、全然大丈夫みたいで。家で練習できたらなっていうのは引っ越す前から思ってました。家で録音することも多いから。まあ、楽しいからっていうのが大きいんですけど。

 

 

 

 

辻村:あ、猫来た。ここね、今だいたい5匹くらい来るんです。ぜんぶ黒猫。 

 

───5匹も。地域で飼ってるような。 

 

辻村:そんな感じです。 

 

───ところで、生まれは京都で、東京に引っ越したのは仕事の理由だったんですよね。 

 

辻村:そうです、2000年にビクターというレーベルの契約が決まって、それで上京して17年住みました。22歳まで弟と二段ベッドで同じ部屋で。弟も19歳まで同じ。一人暮らしもほぼしたことないですね。 

 

 

 

 

───ちなみにどうして三鷹だったんですか。 

 

辻村:なんでなんやろ……弟が「ここええわ」という場所に決めたというか。この家もそうですけど、一緒に住む人が生理的に落ち着くっていうのが一番ですね。僕はそこまで絶対嫌とかはなくて。あと、三鷹は新宿まで20〜30分程度なんですけど、その感覚は自分が京都の時に住んでいた大久保っていう近鉄の駅と同じ、ベッドタウン感というか。子どもの時から育った場所のような、なんとなく座りが良い感覚があって。 

 

───松本は新宿まで2時間半ですが、不便ではないですか?  

 

辻村:松本は便利。不便って思ったことないです。でも、弟が東京に住んでるからライブがあると東京に行ってリハをする。(所属しているレーベルの)カクバリズムも東京。そうした時に、うまくいえないんですけど、今松本だけで仕事をまかなえてるわけじゃなくて、住まわしてもらってるみたいなところがあって、少し申し訳ない気持ちもあるんです。松本に対しても、東京に住んでるスタッフや弟に対しても。僕がわがまま言って引っ越したところもあるので、どこかでいつも後ろめたく思いながら、下手はできひんなと思ってやってます。 

 

───また京都にもどるっていうのはなかったんですか。 

 

辻村:それはなかったですね。移動は苦じゃないんですが、京都だと遠くなりすぎるかな。実はどっちも電車で2時間半なんだけど、感覚的にも遠いというか、新幹線でリハ行くっていうのはちょっと。あずさと新幹線の違いですかね、あのドアの閉まる様子とかエアポケットっぽいし。あずさは言ってもざっくり中央沿線ですし(笑)。 

 

───確かに、三鷹の先といえば先に松本はありますもんね。 

 

辻村:中央本線ですけどね。 

 

───次も中央本線沿いにもっと遠くへ行くとか(笑)。 

 

辻村:先のこととかは考えたことないですね。まだ3年目だし、やっと馴染んだぐらいです。 

 

 

 

 

───やっと、馴染みました? 

 

辻村:今「県民手帳」使い始めて2冊目なんですが、頻繁に行ったり来たりが多くて自分がどこにいるのかわからないような時期があって、これを持っていたらちょっとは変わるかも、と思って買ったのを思い出しました。 

 

───県民手帳、良いですね。 

 

 

 

 

奥さん:コーヒーどうぞ。 

 

───ありがとうございます。コーヒーとお茶菓子、おいしかったです。ごちそうさまでした。 

 

(聞き手:松永大地 写真:神田林呼々呂) 

 

 

 

 

 

辻村豪文(つじむら・たけふみ) 

 

1976年、京都生まれ。1998年より兄弟ユニット「キセル」で活動。2017年より松本市在住。最新のアルバムは「Kicell’s Best 2008~2019(カクバリズム)」。ソロで出演する時のユニット名は「The instant Obon」。 

 

Twitter @gobune 

 

http://nidan-bed.com

 

 

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